鉛フリーソルダーペースト 予備加熱温度とソルダボール(はんだボール)の関係

錫鉛共晶はんだから鉛フリーはんだにシフトしていくなかで、高温条件でのリフロー挙動の違い、はんだの溶解性の違いが主原因となるソルダボールへの対応が必要となっています。
サイドボール抑止のための実務工程対応として、マスクパターン設計、印刷条件設定、印刷機、マスク精度、基盤精度などの印刷設定、チップ押し込み設定、X軸、Y軸、Z軸搭載精度などのマウンター設定、予備加熱条件、本加熱条件などのリフロー設定を適切にすることでソルダボールの発生を抑えることができます。
今回はリフロープロファイル設定における予備加熱条件とソルダボールの関係について報告します。

試作Sn3. OAgO. 5Cuソルダーペーストを使用した予備加熱温度条件とソルダボール発生数についての関係

  プロファイル1 プロファイル2 プロファイル3 プロファイル4
予備加熱平均温度 175℃ 170℃ 160℃ 150℃
3216角チップ抵抗ソルダボール数 13 15 3 24
2012角チップ抵抗ソルダボール数 15 15 3 6
1608角チップ抵抗ソルダボール数 34 24 2 10
1005角チップ抵抗ソルダボール数 68 16 1 1

このPbフリー試作ペーストの場合、ソルダボール発生が最も抑止されるリフロー条件は予備加熱平均温度条件が160℃である「プロファイル3」でした。「プロファイル3」が最もソルダボール抑止効果が高かった理由はリフロー中のソルダーペーストの挙動を想定することで理解することができます。
予備加熱条件が要因となる主なソルダボール発生原因としてA:加熱ダレ、B:キャピラリーボール、C:見凝集ボールが考えられます。

予備加熱温度条件とソルダボール発生挙動についての関係

  A:加熱ダレ B:キャピラリーボール C:未凝集ボール
高温予備加熱
低温予備加熱

A:加熱ダレ発生挙動ははんだが溶解するまでの熱履歴と比例した傾向を持っています。
SnPb共晶(融点183℃)はんだからSn3.0Ag0.5Cu(融点217-219)はんだに切り替える際には、その融点の違いからSnPb共晶はんだよりも熱ダレ挙動が発生しやすいリフロープロファイルが要求されます。

B:キャピラリーボールはソルダーペースト内に存在する液剤量、及び溶融はんだの広がりやすさに比例した傾向を持っています。プレヒート温度を高く設定することでソルダーペースト内の溶剤揮発量を向上させ、はんだの広がりを抑えることができるため、キャピラリーボール発生の挙動を抑えることができます。

C:未凝集ボールははんだペーストの活性力が不十分であると発生しやすくなります。高温予備加熱環境下においてはソルダーペーストの活性力が低下していく傾向があります。

チップサイズと予備加熱温度条件とソルダボール発生挙動についての関係

  予備加熱条件による影響 A:加熱ダレ B:キャピラリーボール C:未凝集ボール
大サイズチップ
小サイズチップ

一般的に小サイズチップに対するソルダーペースト使用量は大サイズチップに対する使用量よりも少なくなります。
仕様ソルダーペーストが少量(はんだを溶融させるために必要なフラックス量が少ない)であると、適正なはんだ付けを行うための予備加熱条件幅が厳しくなります。適正な夜に加熱温度を超えると、活性力不足が要因となる未凝集ボール因子におけるソルダボールが発生しやすくなります。
また使用ソルダーペースト量が多い大サイズチップ対応部分は使用されるフラックス量が多くなるため、加熱ダレ、キャピラリーボール挙動が発生しやすくなります。

予備加熱温度条件とソルダボール発生時における支配的な因子についての関係

上記理由により「大チップ部品-高温予備加熱条件下」においてはA:加熱ダレ要因が、「大チップ-低温予備加熱条件下」においてはB:キャピラリーボール要因が、「小チップ-高温予備加熱条件下」においてはC:未凝集ボール要因がソルダボール発生の支配的な因子となります。

実装基板における各ソルダボール発生挙動の外観写真による判定方法、JIS試験による検証方法

ソルダボール発生要因 外観写真による判定方法 JIS法による検証方法
A:加熱ダレ 一般的なソルダーペーストであれば50μm径サイズ以上のソルダボール JISZ3284「加熱時のダレ試験」と相関、数値が低いとソルダボール良化
B:キャピラリーボール チップ脇に存在するすべてのサイズのソルダボール JISZ3197「フラックス効力試験、はんだ広がり法」と相関、数値が低いとソルダボール良化
C:未凝集ボール 一般的なソルダーペーストであれば50μm径サイズ以下のソルダボール JISZ3284「ソルダボール試験」と相関、良好であるとソルダボール良化

実装基板における各ソルダボール発生挙動の外観写真による判定方法、JIS試験による検証方法

ソルダボール発生挙動 リフロー工程での対応 印刷設計、工程での対応 ペースト設計での対応
A:加熱ダレ 予備加熱時の昇温速度を落とす。 ランド外に印刷しない。
印刷面積を減らす。
加熱ダレの少ないペーストを使用する。
B:キャピラリーボール 十分な予備加熱条件を設定する。 部品電極下の印刷面を減らす。 液量の少ないペーストを使用する。
はんだ広がり率の低いペーストを使用する。
C:未凝集ボール 予備加熱時の昇温速度を落とす。
N2リフローを使用する。
未凝集ボールが発生しないようなペースト転写量を十分に得られる設計、工程をする。 活性力、活性持続力の高いペーストを使用する。
印刷性に優れたペーストを使用する。

ソルダボールの発生挙動を確認し、本稿で説明した予備加熱条件の適正化などそれぞれの要因に応じた対応をすることで、より適切なソルダボール対策をすることができます。

参考文献:
日本溶接協会マイクロソルダリング教育委員会編、標準マイクロソルダリング技術第2版、日本工業新聞社、(2002)

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