微細開口パターン印刷の条件設定

1. 諸言

プリント基板の実装手法の一つである表面実装において、ソルダーペーストは基板と電子部品の接合材料として広く用いられている。Fig. 1に示した表面実装工程の模式図のように、基板にソルダーペーストをスクリーン印刷し、マウンターで部品を搭載した後、リフロー炉ではんだを溶融させて接合する。


Fig. 1 表面実装工程

近年、スマートフォン等の小さくて軽いポータブルデバイスへの需要が高まり、電子機器は小型・軽量化と高機能化の両立が求められるようになった。これを実現するためには小さな面積に多数の部品を組み込む必要があり、部品サイズの縮小や(Fig. 2, Table 1)、高密度実装技術の向上が進んでいる。また、これにともない、微細開口パターンに対するソルダーペーストの印刷技術が必須となっている。


Fig. 2 チップ部品サイズの減少推移
チップ部品サイズの減少推移


Table 1 各チップのサイズ
各チップのサイズ

ソルダーペーストのはんだ粉粒径はIPC J-STD-005Aで規定されており、粒径が大きいType 1から小さいType 7まで分けられている。現在はType 4が主流であるが、細かい印刷パターンに対応するためにType 5やType 6といった微細粉への注目が高まっている。Table 2に弊社の微細用はんだ粉をまとめ、Fig. 3にそれらの粒度分布を示した。本報では、微細開口パターンの印刷性を向上させることを目的に、微細粒径ソルダーペーストを用いた印刷試験を行ったので報告する。



Table 2 弘輝製はんだ粉の粒径タイプ


Fig. 3 はんだ粉タイプごとの粒度分布


2. 実験方法

印刷機を用いて、ソルダーペーストを10枚の基板に連続でスクリーン印刷した。スキージはメタルスキージを使用した。これらの印刷基板について、Table 3に示した開口部における転写率を印刷検査装置により算出し、はんだ粉粒径、マスク厚、印刷圧力を変化させたときの転写率を調べた。Table 4に試験条件をまとめた。なお、本試験で用いたソルダーペーストのはんだ組成はSAC305であり、はんだ粉粒径の影響を明確にするために粒度規格に関わらずフラックスは同一とした。

Table 3 開口径


Table 4 試験条件一覧


3-1. 結果と考察 [はんだ粉粒径]

マスク開口の大きさに対してはんだ粉粒径が大きすぎる場合、はんだ粉が十分に充填されないことや、マスク開口部の目詰まりが起こることがある。一般に、安定した印刷性を得るためには、はんだ粉平均粒径の8倍以上の開口直径が必要とされている。Table 5にはんだ粉粒径ごとの最低開口直径を示した。粒度規格Type 4では0402チップ、Type 5では03015チップ、Type 6では0201チップ開口サイズ以下において安定した印刷性が確保できない可能性がある。

Table 5 はんだ粉粒径とマスク開口

Fig. 4は各印刷開口部について10枚平均転写率を算出し、はんだ粉粒径ごとにプロットしたグラフである。マスク開口サイズが小さくなるにつれてはんだ粉が充填されにくくなり、転写率が減少した。Type 5およびType 6ではどの開口部においても転写率の大きな落ち込みは見られないが、Type 4は粒径が大きいため03015チップ開口サイズ以下では十分な印刷性が得られなかった。しかし、また、Type 5とType 6を比較すると、粒径が大きいType 5の方が高い転写率となっている。粒径が小さいほどはんだ粉表面積が増加するため、はんだ粉とマスク開口側面との密着力が大きくなり、版離れ時にマスク開口部に付着するソルダーペースト量が増える。このため、Type 6の転写率がType 5より低くなった。

転写率はType 5が最も高いが、0201チップ開口のように小さな開口部を印刷する場合ではType 6が適している。Fig. 5に示すように、Type 5は0201チップ開口部において転写率がゼロの箇所が生じており、バラつきが大きい。一方、Type 6では一定のソルダーペースト量をType 5よりも安定して印刷できている(Fig. 6, Table 6)。開口サイズが小さく、はんだ粉粒径が大きい場合、開口部内に充填できるはんだ粉数が少なくなり、基板とソルダーペーストの密着性が低下し、版離れの際にソルダーペーストがメタルマスクに付着する。このため、Type 5の転写率にバラつきが大きく生じたと考えられる。

Fig. 4 はんだ粉粒径を変化させたときの転写率


Fig. 5 粒径規格Type 5ソルダーペースト印刷時の転写率バラつき


Fig. 6 粒径規格Type 6ソルダーペーストを印刷したときの転写率バラつき


Table 6 印刷後のチップ開口部写真



3-2. 結果と考察 [マスク厚]

メタルマスクの厚さと開口の大きさは、下記式で示されるA/R値が0.6以上となることが良好な印刷性を得る条件とされている。
A/R= (マスク開口面積) / (マスク開口側面積) ≧ 0.6
Table 7は各チップ開口のA/R値をまとめた表である。マスク厚50 µmでは0201チップ以下、80 µmでは03015チップ以下の開口サイズで印刷が不安定になる可能性がある。


Table 7 アスペクト比


Fig. 7は各種印刷開口部について10枚平均転写率を算出し、マスク厚ごとにプロットしたグラフである。03015チップ開口サイズ以上ではマスク厚80 µmの方が高い転写率であるが、0201チップのように小さな開口では、マスク厚50 µmのほうが良好である。Table 7に示すように、マスク厚80 µmにおける0201チップ開口部のA/R値は0.31であり、この値は目安となるA/R値0.6を大きく下回っている。このような条件では、ソルダーペーストの充填不足により基板とソルダーペーストの密着性が低くなる。また、メタルマスクが厚い分マスク開口部面積が大きくなるため、版離れ時にメタルマスクにソルダーペーストが多く付着し転写率が著しく低下した。

Fig. 7 マスク厚を変化させたときの転写率



3-3. 結果と考察 [印刷圧力]

各種印刷開口部について10枚平均転写率を算出し、印刷圧力ごとにプロットしたグラフをFig. 8に示した。過度に強い力で印刷すると、メタルスキージがソルダーペーストを余分に削ぎ取ってしまうため、印刷圧力が強くなるにつれて転写率が減少したと考えられる。このことから、良好な印刷性を得るためには、印刷かすれが生じない程度の弱い印刷圧力で印刷することが必要である。

Fig. 8 印刷圧力を変化させたときの転写率



4. 結言

はんだ粉粒径、マスク厚、印刷圧力を変化させて印刷したときの転写率を確認し、微細開口パターンの印刷性を向上させる条件を明らかにした。

  1. はんだ粉の粒度規格Type 5は安定した印刷性を有するが、0201チップ開口ほど小さなサイズでは粒径が小さいType 6が適している。
  2. 0201チップ開口のように小さな開口部を印刷するときは、微細粉ソルダーペーストを薄いマスク厚で印刷すると、良好な印刷性が得られる。
  3. 印刷圧力は過度に強くすると転写率が減少するため、印刷かすれが生じない程度の弱い力で印刷することが好ましい。

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