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カーボンニュートラルを追求する低融点ソルダペーストの役割と可能性

カーボンニュートラルを追求する低融点はんだペーストの役割と可能性


1.   カーボンニュートラルの重要性と現在の課題の概要

1-1.なぜカーボンニュートラルが注目されているのか

1-2.世界各国のカーボンニュートラルへの取り組み


2.   低融点はんだの概要

2-1.低融点はんだの定義と特徴
2-2.低融点はんだの使用範囲と既存の応用例
2-3.低融点はんだが実装されているアプリケーション例


3.   カーボンニュートラルとはんだ接合技術の関係性

3-1.はんだ接合技術におけるエネルギー消費とCO2排出の問題点
3-2.低融点はんだがカーボンニュートラルに向けた解決策となる理由


4.   低融点はんだの課題と展望

4-1.低融点はんだの課題
4-2.カーボンニュートラルに向けた今後の研究課題


5.   まとめ



1. カーボンニュートラルの重要性と現在の課題の概要


カーボンニュートラルとは、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ ようという考え方で、地球温暖化の影響を最小限に抑えるための一つの方法として注目されています。

製造業も省エネルギーとCO2排出量の削減を目指す中で、カーボンニュートラルへの取り組みが求められています。しかし、従来の製造方法ではプロセスの多くが高温での加工を必要としているため、エネルギー消費の削減が課題となっています。

はんだペーストにおいては、従来よりも低温で溶融する低融点はんだペーストを用いることで、CO2排出量・エネルギー消費量の削減が期待できます。このように、製造業界ではカーボンニュートラルの実現にむけた方法の一つとして低融点はんだが注目されています。

以下では、低融点はんだの概要や可能性、今後の課題について説明します。





1-1. なぜカーボンニュートラルが注目されているのか

カーボンニュートラルが注目されている背景には、平均気温が上昇したことが挙げられます。
2020年時点での平均気温は、1850〜1900年代と比較して約1.1℃上昇しており、温室効果ガスの排出を減らさなければ、この傾向は今後も続く、もしくはさらに悪化すると予想されています。
さらに、平均気温が上昇していくにつれ、豪雨や猛暑など、気候危機のリスクは上昇していくともいわれています。



1-2. 世界各国のカーボンニュートラルへの取り組み

2021年時点で、154カ国が2050年等の期限を区切ったカーボンニュートラルの実現を表明しています。
カーボンニュートラルについての各国の表明は様々ですが、脱炭素に向けて、電化や水素化を進めていくこと、大幅な技術改革が必要だという点は共通しているため、政策の方向性はおおむね一致しています。
例えば先進国では、再生可能エネルギーや化石エネルギーに焦点を当てたエネルギー政策が考えられています。EUでは2050年までに温室効果ガスの排出量を均衡させる「気候中立」の目標を掲げるなど、世界各国で環境規制が見直され、カーボンニュートラル実現のための計画が練られています。



2. 低融点はんだの概要


2-1. 低融点はんだの定義と特徴

一般的に多く使用されている鉛フリーはんだの組成はSAC305(Sn/3Ag/0.5Cu)が主流となっており、融点は217~219℃です。

それより低い融点では、有鉛はんだ(Sn/37Pb)があり、融点は183℃となります。しかし、鉛が与える人の健康や環境への悪影響から、世界各国で禁止物質に指定されるなど使用が規制されつつあるため、鉛フリーの低融点はんだが必要とされます。
現在市場では、さらなる低融点化が求められており、Sn/Bi系はんだはSAC305より大幅に低い融点(140℃ほど)を持つはんだ組成になります。
この特性により低温でのはんだ付けが可能となり、リフロー温度設定を40~50℃下げることができるようになりました。プロセス温度が下げられることで、エネルギー消費の削減につながるとともに、パーツに対するダメージも軽減されるようになります。
これにより、プロセスコストの削減や、耐熱性の低いパーツの採用も可能となります。



2-2. 低融点はんだの使用範囲と既存の応用例

低融点はんだは、ウェアラブル機器やLED実装、フレキ基板(FPC)、医療機器分野などで、従来のSAC305はんだでは耐熱性を維持できない基 板や部品の実装に適しています。



2-3. 低融点はんだが実装されているアプリケーション例

ウェアラブル機器では、耐熱性能を超えてしまう部材(超精密部品や樹脂部品、PET基板、その他)や、リフロー中の熱反り懸念がある実装工法で、高温による基板の変形や部品の破壊を防ぐため、低融点はんだが選ばれています。





3. カーボンニュートラルとはんだ接合技術の関係性


3-1. はんだ接合技術におけるエネルギー消費とCO2排出の問題点

従来のはんだ接合技術では、高温でリフロー炉を使用する必要があるため、大量のエネルギー消費とCO2排出が問題となっていました。



3-2. 低融点はんだがカーボンニュートラルに向けた解決策となる理由

低融点はんだの採用により、リフロー炉の温度設定を低くすることが可能となり、エネルギー消費とCO2排出の大幅な削減が期待されています。これによりカーボンニュートラルへの道がより現実的になると考えられます。



4. 低融点はんだの課題と展望


4-1. 低融点はんだの課題

低融点はんだの課題としては接合信頼性の問題が挙げられますが、この課題への対策が今後の研究と技術開発の焦点となると予測されます。また、低融点はんだは、融点に合致した専用のフラックスが必要不可欠です。
Sn-Bi系の低温はんだはフローソルダリングで使用すると、ドロスが多く発生してしまう課題を抱えています。そのため、一般的な低融点はんだを用いるときには細心の注意が必要です。



4-2. カーボンニュートラルに向けた今後の研究課題

環境への配慮を踏まえ、さらに低い温度でのはんだ付けを可能とする新材料の開発や、省エネルギーを実現する製造技術の進化が求められます。



5. まとめ


弱耐熱性部品などで必要とされている低融点はんだは、カーボンニュートラルを追求する現代において、製造業や機器の開発者にとって大きな可能性を秘めています。
今後技術が進み、さらに低融点のはんだペーストが開発されるようになれば、より多くのエネルギー消費とCO2排出の削減が実現できるでしょう。
この技術のさらなる研究と進化が期待されます。

最後に弊社の低融点はんだをご紹介します。
Sn-Bi系ソルダーペーストT4AB58-HF360(Sn 0.4Ag 57.6Bi)及びにディスペンス対応T4AB58-HF360Dです。
T4AB58-HF360の融点は138-140℃と低温で、SAC305に比べて低い温度設定が可能なため、約40%程度の消費電力量削減が可能です。
そして、電力の削減量に応じてCO2排出量・エネルギー消費量の削減を同時に実現します。
また、耐熱性の低い部品や基板での使用に最適となっています。
T4AB58-HF360/T4AB58-HF360Dにご興味がありましたら、こちらからお問い合わせ下さい。
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  • 低温はんだ合金ソルダーペースト(Bi系・ディスペンス用)
    T4AB58-HF360

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